私にとってのサラウンド世界へのきっかけとAuro-Maticについて

今回フォッサマグナツアーに参加させていただいて、新しい出会いからメンバーの方々の多様性に触れることもでき、何よりもホストの方々が念入りにご準備されたすばらしい音に触れることが出来たのは本当に大きな体験でした。

年末にフトしたきっかけでAVアンプを購入し、さらに何気なく4chサラウンドをはじめて急速にこの世界に引き込まれましたが、自分のブログの記事をふり返ってみると、5ch以上のNative音源に触れた(入手した)のは、6月に入ってからでした。

という事は、Auro-3Dの世界に触れ始めたと言っても、5月まではほぼ2chからの拡張のAuro-Maticのみを聴いていたことになります。
なのでNativeのAuro-3Dを聴き始めてからまだ3ヶ月しか経っていない訳です。

取って付けたサラウンドスピーカーを設置してみて、Audyssayで補正し、はじめて4chで再生して、『いやいや今時のサラウンド・・・なんかすごいんやん!!』と感動して徐々に拡張してきました。
今回のツァーでも試聴させていただいたキースのアルバムを聴いたのが引き金になりました。


<なぜ立体再生にAuro-3Dフォーマット(マランツ表記・・・実際には当時『なんちゃってAuro-Matic(汗)』)を選んだのか?>
 なぜ数あるイマーシブフォーマットの中でAuro-3D(この時点でAuro-Matic)を選択したのかを思い返してみると、何十年もステレオしか聴いてこなかった価値観を持つ人間にとって、4.0.2ch(フロントイネーブルド)構成で聴いたAuro-3Dがもっとも自然なUpMixだと感じたからでした。
 確かに今からふり返ると、その時点でのフロントイネーブルドで何が言えるのかという感じですが、そのときは確かにAuro-3D(マランツのアンプの表記がそうなっているのであえてこの単語を使いますが・・・)が、もっとも心地よかったのです。
 後は価格コムでのAuro3Dさんの解説を鵜呑み(爆)にして、リアルサラウンドハイトに次いで他のリアルハイトスピーカー群を次々に増設していった次第です(笑)。


<切り離せないDirac Liveとの関係>
 それと、導入当初からDirac Liveの恩恵にあずかることができたのも、わたしにとっては好運だったのかも知れません。
 PhilMでの記事における、donguriさんシステムにたいするヒジヤンさんのご感想をお読みして、5chまでは完璧なシステムがなぜAuro-Maticにしたとたん評価が下がったのかと言うことを考察すると、やはり物理的なコントロールは平面サラウンドまでで一つ大きな山があり、そこにハイトスピーカーを設置するためには更に大きなハードルがあると言うことなのだと思いました。これはdonguriさんご自身が書いておられるようにやはり電子補正の力を借りることが最も現実的(安易ともいえますが(汗))な選択肢のひとつなのかなと思いました。
 私にとってDirac Live導入時期が、VOGとHCスピーカーを設置する前であったことはありがたいことであったと今更ながらに思います。


<臨場感と音場感・情報量>
 Auro-Maticにすると臨場感がアップするがわずかな設置のズレによる多数のスピーカー同士の打ち消し合いで、音場感・情報量としては曖昧になり、満足度が減ってしまうというのはその通りだと思いますが、上記のDirac Liveの効果もあるのか、こと自宅のシステムではAuro-Maticの方が情報量的にも満足度が高いです。
 特に小音量時。下の低音の問題ともかぶるのですが、明らかに耳に届く音数が多く、しかもDirac Liveのおかげで打ち消し合うことも少ないのか、情報量的な満足度も高いです。とにかく再生音量を下げることができます。このことが集合住宅の庶民にとっては、もっとも現実的なありがたみです。


<低音について>
 もちろん今でもフロント偏重(というか他軽視(汗))の傾向は変わっていないわけで、サラウンド11~14.5cmに対して、フロントシステムは38cmを使用しているため、たまに2chにきり換えると低音の出方がとても変わります。元来低音が非常に軽い軽量ウーファーアルテックのシステムであっても2chとAuro-Maticとでは低音の出方が全く違います。
 サラウンド再生でのフロントスピーカーの帯域はフルレンジに設定しているのですが、2chに切り替えると明らかにフロントスピーカーの低音の量感とレンジが増します。ジャズなどにおいてはソースによってこちらの方が好ましい事もあります。
 これはサブウーファーを設置していない影響もあるのかと思いますが、Auro-Maticに切り替えるとフロントスピーカーからの低音がグッと減るかわりに、それを補う様に周囲の小口径サラウンド群から一斉に低音が放出されますので、結果的には低音不足どころかむしろ低音に包まれた感じになり(たとえ超低域まで出ていないにせよ・・・超低域を求めるとサブウーファーが必要なのでしょうね)、それなりに満足度が高く、実際にはより音量を下げることが出来ます。
 低音面でもまさに庶民にとっては非常にありがたい仕様です(笑)。


<Auro-Maticの奥行き感>
 これは昨日Auro3Dさんからいただいたコメントで始めて気づかされたのですが、なぜ天井の低いキースのライブがAuro-Maticでよくなるのか(音像はほとんど上下に拡大しません)ずっと不思議に思っていました。
 Auro3Dさんの御指摘で、奥行き感が増しているせいであると始めて認識しました。レポートを拝見すると『なるほどこういうことだったのか!!』と大きな気づきでした。
 こういうことであれば、天井の低いジャズ音源でもAuro-Maticの利点が大きいんじゃないかと思いました。その視点で2chはもちろん、マルチチャンネルを含めた平面音源を色々聴き直してみようと思います。楽しみが増えました(^^)/


<至高のステレオシステムに触れて思ったこと>
 今回のツアーで至高のステレオシステムを生まれて初めて聴かせていただくことになり、実際に2ch音源は、やはり2chで存分に楽しめる事を痛感しました。Auro-Maticで特にデッドな環境下で擬似的(?)に得られる立体感とはまた違った立体感が、優れたステレオシステムでは再現されるからなのかな?と感じました。
 なので、私にとっては(2ch音源再生に関して)2chの方がよいとかAuro-Maticの方がよいという議論は消え失せました。
 どんな2chシステムをも打ち負かす Auro-Matic システムもあり得ず、その逆もあり得ないんじゃないかと感じます。2chと全く同じ機器でAuro-Maticを構成しない限りは、結局優劣(というか好き嫌いですね(笑))はその人の持つベースとなる2chシステム如何によるのかな~と(汗)。donguriさんが言っておられた『第1相の充実によりハイトスピーカー設置条件のハードルが上がる』というのはその通りだと思いました。
 もちろん2ch(若しくは第1相)の基本性能の向上を行う努力を怠ってはいけないと思いますが、少なくとも現在の自分の住環境(デッドでかつショボいシステム(泣))では、Auro-Maticによる拡張は上述の様々な利点がありますので、自分なりにこのシステムを改善していこうと思います。

 ツァー前から一貫しての課題は、センターの充実(センターマルチアンプの変更を含め)。それとやはり特に今回ツアーで必要性を痛感したハイト群(特に前3本かな?)のグレードアップですね。すぐには無理ですが、いずれはコンプレッションドライバーによるホーンともう一回りは大きなウーファーを搭載したスピーカーを設置したいところです。


<今後のさらなる展開>
 Auro3Dさんが最近報告されているARTはとても興味があります。
 集合住宅における周辺への騒音の懸念から、低音量感を増強するためのサブウーファーの増設は今のところ考えていないのですが、低音の引き締めのためにわざわざサブウーファーの増設をしたら面白いかなと今妄想しています(笑)。

 これからもAuro-Maticを楽しんで行きたいです。とにかく音楽を楽しむことが一番ですよね。